【損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議(第4回)議事次第】

いつもお世話になります。6月7日に以下のとおり、有識者会議が開催されましたので、お知らせいたします。また、5月24日開催の第3回メンバーの主な意見についても、以下のとおり、お知らせします。

【損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議(第4回)議事次第】

日時:令和6年6月7日(金曜日)16時00分~18時00分

会場:中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室

URL: https://www.fsa.go.jp/singi/sonpo/siryou/20240607.html 

資料1:https://www.fsa.go.jp/singi/sonpo/siryou/20240607/siryou1.pdf

資料2:https://www.fsa.go.jp/singi/sonpo/siryou/20240607/siryou2.pdf 

【2024年5月24日:第3回の議事ポイント(メンバーの主な意見)】

〔共同保険のビジネス慣行の見直し〕

・独占禁止法を低減する観点から、これまでの共同保険の組成における商慣行は見直し、新たな仕組み を考えるべきである。様々なやり方があるが、例えば、シンジケートローン方式を参考にする場合、アレンジャーの主体、アレンジャーに対する手数料のあり方や情報共有する情報の範囲・方法等についても検討すべき。

・実際には損害保険会社が単独で引き受けられるにもかかわらず、便宜供与等を背景にあえて共同保険を組成している慣行もあるため、このような慣行は、顧客の意向に配慮しつつ、是正することが重要。

〔政策保有株式の縮減〕

・政策保有目的の株式が、純投資や事業提携に区分されるだけで、実質的に政策保有株式の保有の継続につながらないようにすべき。また、政策保有株式の縮減が進めば保険会社のビジネス構造も変わる可能性もあるところ、金融庁が適切にフォローアップすべき。

〔営業推進態勢の確保〕

・トップライン重視の経営方針や、ボトムラインが確保されていない保険契約を引き受けてしまうビジネス慣行自体を見直すべきでは

ないか。

・自社の営業推進態勢が適正な営業推進を進めるものになっているかどうか、経営トップへのけん制が働くような仕組みが必要。

〔保険引受管理態勢の確保〕

・保険会社が保有する保険契約全体(火災保険、自動車保険など)で利益が出ればよいという考え方ではなく、各保険の種別ごとに収益管理を行うといった視点で、保険引受管理態勢を構築すべき。

・個々の保険契約で収益管理を行うことも重要であるが、個々の保険契約だけでなく、再保険会社の評価等も踏まえ、ポートフォリオ全体を分析して収益管理を行うといった視点も入れて保険引受管理態勢を構築すべき。

〔企業内代理店のあり方〕

・企業内代理店は、顧客企業グループに属してグループ全体の経営方針に従う一方で、保険募集の関係では、保険会社から委託されて保険会社のために保険募集を遂行する立場もあり、その立場が不明確であることから、立場を明確化すべき。

・損害保険会社から企業内代理店に支払われる手数料について、保険料の増加が手数料の増加につながる報酬体系を見直し、企業内代理店が果たした役割に応じた金額を設定できるようにすることが、企業内代理店の双方代理問題を解消する一助になるのではないか。

・賠償責任保険等の新種保険を対象に含めないとする特定契約比率規制の経過措置は、現在の企業保険市場の実態に即していないため、一定の準備期間も置きつつ撤廃していくべき。その結果、実務能力に乏しく自立が果たされていない企業内代理店は、自然に淘汰されていくのではないか。

・特定契約比率規制における特定者の範囲については見直すべき。一方、企業における企業内代理店の位置付けも多種多様であるため、当該規制の見直しによる影響を含めて実態調査を十分に行ったうえで、検討を進めるべき。

・顧客企業側の立場も有する企業内代理店に対しては、今後検討する第三者評価制度の役割や募集人に対する教育等の高度化が、損害保険会社による教育・管理・指導の実効性を確保するうえで、他の保険代理店に比してより重要になるのではないか。

〔その他〕

・保険代理店や保険仲立人といった保険仲介者に支払われる手数料体系について、役務に応じた(フィーベースの)報酬体系とすることを検討すべきではないか。

・これまで自社のリスクマネジメントを保険会社任せにして企業保険契約を行っていた企業も存在するところ、企業のリスクマネジメント意識の向上をさせるとともに、保険仲立人等の活用を促進していくことにより、新たなビジネスチャンスにもつながり、企業保険市場の活性化が期待できるのではないか。

・企業の事業リスクも刻々と変化していく現在においては、企業の事業内容と保険による補償範囲にずれが生じた場合、損失に見合った保険金が支払われないような事象や、企業の経営層が株主から経営責任を問われるような事態も起こり得るため、企業自身が保有する事業リスクや保険について適切に把握し、リスクマネジメントの一環として保険を活用していくことが重要。