1.改正の概要
金融庁は、損害保険業における保険金不正請求事案及び保険料調整行為事案を受け、顧客本位の業務運営の徹底及び健全な競争環境の実現といった観点から、制度・監督上における必要な対応を検討するため、令和6年3月から6月にかけて、「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」(以下「有識者会議」という。)を開催して幅広く議論を行いました。同会議の報告書においては、法律改正が必要と考えられる論点については、金融審議会の開催も視野に、金融庁を中心に必要な対応が行われることへの期待が示されました。
これを受けて、金融審議会に「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」(以下「ワーキング・グループ」という。)が設置され、同年9月から12月にかけて幅広く議論が行われ、同年12月25日にワーキング・グループの報告書が公表されました。
一方で、保険業界を巡っては、保険会社や保険代理店における情報漏えい事案も相次いで発覚しており、本年3月には損害保険会社4社に対して業務改善命令を発出したところです。
金融庁としては、有識者会議及びワーキング・グループの報告書において、「保険会社向けの総合的な監督指針」の早急な改正に対する期待が示されたことを踏まえるとともに、足元で発覚している情報漏えい事案への迅速な対応を図るため、下記に関して、所要の改正を行うこととします。
- ・損害保険会社による保険代理店に対する指導等の実効性の確保
- ・保険代理店等に対する過度な便宜供与の防止
- ・保険代理店等に対する不適切な出向の防止
- ・代理店手数料の算出方法適正化
- ・顧客等に関する情報管理態勢の整備
- ・政策保有株式の縮減
- ・仲立人の媒介手数料の受領方法の見直し
具体的な内容については、以下を御参照ください。
なお、上記以外の有識者会議の報告書で提言された内容や、ワーキング・グループの報告書の内容等を踏まえた監督指針の更なる改正については、引き続き、検討を行っていく予定です。